8/06/2010

遠い昔の夏の思い出

今まで誰にも話さずにいた遥か昔の出来事です。このブログに書くべきか迷ったのですが・・・・・・・・・

数十年前のことです。

私は猫が好きで、捨て猫が居れば拾ってきては育てていました。
当時住んでいたアパートは木造の1階で小さな畳2枚ほどの庭がついた1DKでした。そこで猫を2匹飼っていたのです。1匹はよく懐いていたのですが、もう一匹の虎猫があまりなつかなくて。
でもかわいい首輪をしてあげて、愛情いっぱいに育てていたのです。

しかしいつのまにやら外の生活が楽しいらしく、数ヶ月も戻って来ない日が続きました。折しも私の仕事の都合で引っ越しをする事になったのですが、なついた方は無事に新しい住居へ、しかし虎猫はかえってきません。

いよいよ引越しの当日、荷物を運び終えて、庭の窓をいっぱいに開けて掃除をしていた時、庭に虎猫が現れたんです。それも汚れていて野良猫です。
もっとビックリしたのが、首輪を外そうとしたのか、右前足が首輪にスッポリ挟まって抜けない、3本足の状態で歩いてきたのです。首の部分は首輪がきつくて擦れて傷になっているではないか。

それに野良猫暮らしが長いせいか、おどおどしています。
名前を呼ぶと嬉しかったのか、何も無くなった部屋に恐る恐る入って来ました。そして私が頭を撫でてやると、昔を思い出したのか、うれしそうに喉を鳴らしておとなしく座ってくれたのです。
首輪を外そうと手をやると、ちょっと怯えた様子をしましたが、名前を呼びながら「痛かったねえ、ごめんね」と声をかけながら無事首輪を外してやることが出来ました。

当時のことではっきり覚えていないのですが、何か食べ物を与えたら、空腹だったのか、一心不乱に食べてくれました。何を食べさせたかも覚えていないのですが、その時の事が未だに忘れられません。猫の一生で重大な出来事だったはずが、覚えて居ない事の多さに、人間の記憶のいい加減さを痛感してしまいます。

その後いよいよ部屋の明け渡しの時間に成って、捕まえて連れて行こうとしましたが、彼は自由になった4本足で部屋を出て行き、戻ってきませんでした。
出て行く時に何度も振り返り、立ち止まってそして路地に消えてしまったのです、まるでサヨナラを言いに戻って来てくれた気がして辛かった。

数十年前の出来事なので、虎猫は生きている筈もないのですが、ここ数カ月のあいだ、頻繁に思い出されます。そして生きているものを人間が飼育する事の難しさを痛感しています。野良猫の一生は三年から四年だそうです、普通の家猫は七年ほどですから、それだけ過酷な生活をしているのでしょう。

今は我が家には家族同然のうさぎが2羽います。そしてそのうさぎ達が私たち人間を信じきって、共に生きているのに愛情を感じながら、あの頃のような安易な過ちは起こさないように、彼らの一生を責任を持って、最後まで見守ってあげようと決意を新たにしています。

誰にも話していなかったのですが、実は私に懐いているうさぎが白内障の初期状態なのです。私は毎日彼女に「目が見えなくなっても、ずっと面倒をみるよ、そして目の代わりに成ってあげるよ」と心のなかで話しかけています。たとえ目が見えなくなっても、私の匂いと気配で安心して暮らせる環境にして上げたいと思っています。

今日も入浴中にふと虎猫のことを思い出し、涙がこぼれてしまいました。
そして心の中で手を合わせて、当時のお詫びと新しく生まれ変わって幸せな暮らしがあることを祈ったのです。

遠い夏の思い出です。

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